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発掘品
ボツにした短編、設定倒れを起こした長編、寄稿の試作、エトセトラ。
多分続きを書くことはない(ていうか、書けない)と思います。
が、ネタにはなるので、こちらに展示してみます。
しつこいようですが書きかけです。
これはどうも10万hitした時にフリー小説として展示しようとしていたようです。
登場するのは、アスキララクカガ+カリダママと導師の家の子供たち。
時系列は種と運命の間、星の狭間の辺りです。…それにしてはキラが明るいのが謎。
シリアスなほんのりアスキラを書こうとしていた覚書が添えられているものの、どこからどう見ても健全ギャグでしかないという微妙な一品。
それでもよろしければ、続きを開いてご覧下さい。
↓
1・アスキラ年越し小説
「な、…何、これ」
「蕎麦だ。見たことないのか? 美味いぞ~!」
「いや、あの…僕が聞いてるのは、そういう意味じゃなくて…」
「え? …ああ! そりゃ、ここは食べ盛りの子供達ばかりなんだから、これくらいの量は必要だろ?」
「………」
天然無敵な双子の片割れには、どうも上手く質問の主旨が伝わってくれないらしい。
「もうじきアスランが海老釣ってくるからな」
「はぁ!?」
鼻歌を歌いながらエプロンをして―――服のまま台所に立つな、とカリダに散々言われ、辛うじてエプロンをつける習慣はついたようだ―――万能葱を刻み始めたカガリは、これ以上持ち込んだ食材について説明するつもりはないようだ。
しかも、アスランが釣り。でもって、海老。
キラとラクスは顔を見合わせ、ため息混じりに笑った。
「ほら、見てないで手伝えよ。ラクス、天ぷらの衣頼むな」
「ということは………天ぷら蕎麦ですのね?」
「当たり前だろ? キラ、そこの大葉洗って」
「う、うん」
きびきびと指示をするカガリ。いつもは台所での指示順位はカリダ、ラクス、カガリの順なのだが、今日はまったく逆転してしまっている。
「油を使うときには言って頂戴ね、カガリさん」
「はーい!」
カリダも愉快そうに事の成り行きを見守っている。どうやらカリダは一人、カガリが何をしようとしているのかをはっきり分かっているようだ。
「………ねえ、ところでさ。…さっきのは…」
「ん? さっきの?」
「だから……アスランが、海老…釣ってくるって………」
「大丈夫だ! あいつ、この間はチヌ釣ってきたぞ!」
「………………」
…冗談じゃなかったのか。チヌって何、チヌって。…っていうか、いや、そういう問題じゃなくて。
「アスランが、釣り………ですか?」
ラクスも大層不思議そうに首を傾げている。
「食用養殖魚と釣堀の設備があるプラントは限られておりますし、アスランが釣りを嗜んでいるというお話は、伺ったことがありませんでしたけど…」
「ああ。こっちに来てからキサカに教わったんだ」
「……ねえ、キサカさんってタッシルの出身だって言ってなかった? 砂漠の人が、なんで、釣り…」
「キサカもオーブに来てから覚えたって言ってたぞ」
意気揚揚と葱の千切りを大量生産していくカガリ。頭上に音符が飛びそうな勢いだが、キラとラクスがきょとんとして手を止めていることには気付かない。
「どうせなら景気良くオマール海老でも釣ってきてくれないかしらねぇ、アスランくん」
「へっ!?」
遂にカリダにまで、にわか漁師アスランの話が伝染してしまったのか。キラは大葉の中央にバリッと親指を突っ込んでしまった。
「わっ、ご、ごめん!」
「あー、いいっていいって。天ぷらにしちゃえばちょっとくらいの穴わかんないから」
「…これ、揚げるの?」
「あったりまえだろ!」
「………まさか、この海苔も…?」
「あれ、キラは海苔の天ぷら苦手か? だったらお前の分はそのままのせるけど」
「………」
いや、そこまで話を進める前に。
実はキラにとっては、海老以外の食材を天ぷらにするという発想自体が初耳なのだ。コロッケや唐揚げのような揚げ物ならともかく、海苔やら葉っぱやらに衣をつけて食べるというのは初耳だった。
ここに来て本気で戸惑っているキラの様子に気付き、カガリの包丁がやっと止まった。
「…え? まさか……」
「あら、そういえばウチでは出したことなかったわねぇ、そういうの」
言いながら、カリダがそっとキラから大葉の束を取り上げる。
「丁度いいわ。この機会に食べて御覧なさい。美味しいわよ。今度掻揚げとか、かぼちゃや茄子もやってみましょうか」
「ええっ、そんなに何でもかんでも天ぷらにしちゃうの!?」
「何でもってわけじゃないけど…。ラクスさんは大丈夫?」
「はい。プラントでは滅多に食べられない食材もありますもの、わたくし大好きですわ」
「えー…っ……」
蚊帳の外はキラ一人ということか。
なんとなくしょぼんとしてしまうキラに、ぽん、とカガリが肩を叩く。
「何事も経験! だろ?」
何故初めて会った時に気にならなかったのかと不思議になるくらいそっくりな顔が、太陽のように微笑む。
そうだねと言って、キラも微笑み返した。
「ではキラ、子供達を呼んできて下さいませ」
「帰って来たらまずうがいと手洗い、だね」
「はい!」
嬉しそうににっこりと笑うラクス。こうして、キラが積極的に何かをしてくれるということが、無条件に嬉しい。
「あ! キラ!」
「キラー!」
「もうかえる時間~?」
浜辺で遊ぶ子供達の中の何人かが、家から出てきたキラの姿を目ざとく見つけ、わっと声を上げた。
「そうだよ。ほら、お日様がもうあんなに赤い」
空を青と赤の二色に染め分けながら、太陽が水平線へ近づいている。
手を翳して眩しさをしのごうとしたキラ。だが、太陽の向こうから、影がどんどん近づいてくる。
「アスランだー!」
「なんでわかるんだよ~」
「だってカガリはさっき来たもん! アスランだよ!」
「ちがうよ~、アレックスって呼ばないといけないんだよ~?」
「そんなの知らな~い。アスランはアスランでしょ?」
一旦は家に戻りかけていた子供達が、また海辺に向かって駆け出しそうになっている。
「…みんな、お家に入って、アスランをお出迎えしようよ。ね?」
「うん、わかったー!」
「みんな、いこー!」
キラが大好きな子供達は、素直にキラの言うことを聞く。
顔中をいっぱいに使ってにこっと笑った子供達は、ぱたぱたと家に戻って行く。
「戻ったらまず手を洗って、うがいするんだよ!」
「はぁ~い!!」
子供達の後姿に声を掛けて、それから。
浜辺へ着陸しようとしている、小型飛行機に歩み寄っていく。
「キラ」
世界中の美しい夜の空を集めたような、綺麗な綺麗な色の髪。
「丁度良かった、運ぶの手伝ってくれないか」
「え?」
「カガリからの頼まれ物」
綺麗な綺麗な髪を風にサラリと流されながら、ぽん、と背後のミニコンテナを叩くアスラン。
「えっ、まさか………」
ぎょっとして目を見開くキラに、アスランは訝しみながらタラップから地面へ降り立つ。
「別に変なものじゃないぞ」
「アスラン、それ……海老?」
「ああ」
「ほんとに釣ってきたの!?」
「はぁ??」
そして今度は、アスランがぎょっとしてしまう番。
二人して目を丸くして、そのままフリーズ。
「あっははははははは!!!」
釘が打てそうな勢いで机を叩くカガリ。目じりには涙まで浮かんでいる。
「おま、おまえ、ほんっとに本気にしたのか!? 冗談に決まってるだろ!!」
* * *
というわけで、ここまで。
こちらに出すにあたって、読み返してちょっと目に付いたところだけをポチポチ加筆修正しました。
キラが海老以外の天ぷらを知らないとか、かなり無理があるような…。
ロールキャベツの印象が強いので、ヤマト家の食卓は洋食中心、という思い込みがあったのかもしれません。
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只今テイルズ熱再燃中につき、ほぼほぼTOXプレイ日記と化しております。
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他にも種やマクFとかとか。