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2024-05-19(Sun)

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2008-05-11(Sun)

◇日向ぼっこ

◆BASARA、政宗×幸村


 斬り合うことしか知らないと思っていた。
 斬り合うことしか出来ないと思っていた。

 紅蓮の鬼と恐れられた宿敵が、まさか仔犬のように膝に甘えてくるようになろうとは。

「…まァ、アンタも似たような事考えてんだろうけどな」
 戦場の蒼い稲妻と呼ばれた男の傍で、自分が無防備に昼寝などしているとは、夢にも思っていなかっただろう。
 小さく苦笑を零す。だが、それは苦々しいものではなく、困り笑いと表した方が近い。慕われているのは喜ばしいが、このあまりの危機感のなさはどうにかならないものか。
 上杉・武田・伊達の三者同盟が成され、一先ず奥州近辺は落ち着いている。西のほうで織田・豊臣・徳川がやりあっているが、そこに明智の謀反やら何処ぞの新興宗教の進出やらが絡まって、同盟を組んだこちらにまでは手を出す余裕がないらしい。
 こちらはこちらで彼らに下手に手を出されるのは厄介なので、今回の同盟は事の他強固だ。だからこそこうして、上田城を預かる身である信玄の懐刀が、客将として奥州に長期滞在することができる。
 その事についても、政宗は困っている。
 戦場ではない場所で相対した真田幸村は、たった二つしか年齢の違わない政宗が、敬愛する信玄と肩を並べる人物であることに…つまり一国を治め人心を集めていることを大変に尊敬し、無邪気に、だが礼儀正しく懐いてきた。
 政宗も政宗で、炎の化身のようだった戦場での彼と、平素の彼との強烈なギャップを大いに気に入り、もっと新しい一面はないかとあれこれ構ってしまう。
 使者として訪問してくるくらいで丁度よかった。こんなに長い間この腕の中に居られると、勘違いしてしまう。
 彼を、手に入れてしまったと。
 幸村の忠誠は信玄に捧げられたもの。いずれ必ず離れていく。分かっている筈の事を、忘れてしまいそうになる。
 栗色の柔らかい癖っ毛をふわりと指先で遊ぶ。んん、とむずがって、ぼんやりと幸村が目を開けた。
「…ん~」
 子供のように喉を鳴らしてごろりと仰向けになり、目を擦る。
「おい。腫れるぞ」
 その手首を取って、幸村の肩を抱える。足を崩して、彼を抱え込むようにして自分もごろりと横になった。
「…まさむねどの…?」
 ぽやんとした声に、ぷっと笑ってしまう。これは絶対にまだ寝ている。
 ぽんぽんと頭を撫でて額にキスを落とすと、むにゃむにゃと素直に政宗に身を預けて目を閉じ、寝息を立て始めた。
 手放したくない。どうすれば奥州へ足止めできる。そんなことを今から考えてしまう自分の独占欲にまた苦笑を零して、幸村の頭を胸の上に抱え直し、自分の腕を枕にして目を閉じる。

暖かいのは陽の光か、それとも幸村の子供体温か。






ちかにいやんと幸たんが月光浴だったので、まーくんは太陽にしてみました。どっちかいうと逆のイメージなんですが。元親が海と太陽、政宗は闇と月。幸村は普段春の暖かな太陽で、戦場では夏の凶暴な太陽!
…あくまで海原個人の主観的なイメージです、はい。

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2008-05-05(Mon)

◇月光浴

◆BASARA、元親×幸村


 満月を見上げ、空になった杯に手酌で酒を足す。
 ただ静かな時間。じっとこうしているだけで飽きない。
 月見の趣味があるわけではない。膝に、暖かな温もりがあるからだ。
 月明かりに淡く照らされた寝顔は、まだまだ幼い。戦場での夜叉の如き戦ぶりが嘘のような、穏やかで安心しきった表情。
 ふ、と顔が笑む。その気配を察したわけではないだろうが、うう、と小さく唸って顔を顰め、薄く目が開いた。
「………ん……?」
「目ェ覚めたか、幸村」
「…うぅ…」
 頭が重いのだろう。のろのろと元親の膝を抱えるような仕草で、うつ伏せになってしまう。
 微笑して、頭を撫でてやる。
「あー、寝てろ寝てろ。もうちょっとしたら床に運んでやっからよ」
「………」
 うぅ、と唸る。聞こえているのかいないのか、分かっているのかいないのか。こうしていると本当に只の可愛い子供だ。
 酒は苦手な様子だったので、甘酒にほんの少し元親の酒を混ぜてやった。それがかえって悪かったのだろう、幸村は普通に酒を飲ませるよりも悪酔いしてしまった。立ち上がる事も出来ずに座ったままぐらりと体を傾げ、倒れ込んだのである。
 それを機に酒席をお開きとし、元親は自分の部屋へ幸村を運んだ。無論客人に部屋は用意してあるが、様子が心配でもあったし、限られた時間しか会えないのだから、少しでも傍に居たかった。
「…………………う…ん、……あ…もとちかどの…?」
 結局意識が浮上してしまったのだろう。幸村は目を擦りながら、のろのろと体を起こした。
「…あ…、それがし、大変な失礼を…」
「気にすんな。酒混ぜたこっちも悪ィんだから」
 ふらつく体を支える為に肩に手を回し、ついでだとばかりに抱き寄せる。いつもならうろたえる幸村だが、本気で調子が悪いのだろう。大人しく体重を預けてきた。
「…元親殿」
「ん?」
「月明かりとは…思いの他心地良いものにござりまするな…」
 幸村はぼんやりとした様子でそう言うと、また瞼を閉じた。
 やれやれ、本当に子供だ。元親はその背中を撫でて、杯の酒をぐいと飲み干した。

「…どうせなら俺の傍が気持ち良いって言って欲しいね」








褥と床と布団、どれにしようか迷ったっていうのは余談。
子供子供と連呼しているのは子供の日だからってわけじゃないのよーというのも余談。
おかしいな私基本はダテサナの筈なんだけどなーというのも余談。でも幸村って元親に懐きそうなイメージあるんだよなー。二人ともアニキだしね(笑) 巨大からくり兵器とか面白がりそう。

2008-05-04(Sun)

◇危険人物

◆種、ハイネ&キラ(+アスラン)


「キラ・ヤマト!」
 MSドッグを吹き抜けてゆく、よく通る声。振り返って姿を探すが、聞き覚えのある声ではないので分からない。
 見回していると、ぽんと左の肩に手が乗った。
「よっ。お前がキラ?」
 親しく言葉をかけてくる、明るい金髪。きょとんと見上げてしまったが、すぐにはっと我に返り、青年に向き直った。
「は、はい。あの…」
「へぇ~。なるほどな」
「?」
「いや、アスランがあんまり可愛い可愛いって言ってたから、どんだけ童顔だよって思ってたんだけどさ。単純に童顔ってわけじゃないんだなーと思って」
「は???」
 全く話が見えない。が、戸惑うキラに、彼はぷっと小さく吹き出した。
「ああ、悪い悪い。オレはハイネ・ヴェステンフルス。ザフト軍所属、グフ・イグナイテッドの専属パイロットだ」
「あ、それでアスランと…」
「そういう事」
 ずっと亡命者として身を潜めていたアスランだったが、オーブ・プラント間で結ばれた条約によって前戦争中のややこしいあれこれを不問とされ、正式にオーブへ移籍し、オーブ軍に所属した。そして先日、交換視察としてザフトへ行ってきたのだ。その間キラはザフトからやってきたシンという少年に振り回されていた…というのは、また別の話。
 とにかく彼とはその時に知り合ったのだろう。それで自分の名前だけを知っていたのか。
「なるほどな~。確かにこりゃ、警戒もするか」
「…あ、あの、すみません、話が見えないんですけど…」
「あ、じゃお茶でもしながらゆっくり話そうぜ。向こうにカフェテラスが」
「キラ!!」
 今度は怒声が響き渡る。なんだかもう大声で名前を二度も呼ばれて、恥ずかしいというか居た堪れないというか。工員達の注目を浴びまくりだ。
 アスランはずんずんと早足に歩み寄り、キラとハイネの間に割り込む。
「ちぇ、早かったなアスラン」
「ああ。おかげさまで」
「もうちょっとゆっくりしてればいいのに。ジュール隊長達と会うの久しぶりだって言ってなかった?」
「お前も一緒だと聞くまでは、そうするつもりだったさ」
 ハイネの軽口に、鋭い視線をぶつける。それからキラの肩を抱いてくるりと回れ右。
「え、え?」
「行こう。カガリとラクスが呼んでる」
「あ…で、でも」
 アスランの肩の向こうのハイネを気にすると、彼は大して気にしていない様子で変わらぬ笑顔を浮かべていた。
「今度ゆっくり話そうな、キラ」
「は、はい。すみませんハイネさん」
「キラ!!」
 こんなにあからさまに機嫌の悪いアスランも珍しい。キラは戸惑いながら、しかしカガリ達が呼んでいるなら待たせてはいけないと、引かれるままアスランに付いていく。
「駄目だよアスラン、友達にあんな態度」
「友達? あいつは悪友あたりで充分だ。それよりキラ! お前、今ナンパされてたって分かってるのか!?」
「ナンパ…って、それこそ失礼だよ。普通に話をしようって誘われてただけだよ」
 ああもう、とアスランは頭を抱える。それがナンパだっていうんだ。

 油断ならない相手にキラのことを教えてしまった。己の迂闊さとキラの危機感の無さに、アスランは深い溜息を落とした。








パラレルですね。もしもアーモリーワンでのガンダム奪取がなかったら、ユニウスセブン落下がなかったら、戦争が始まらなかったら。って感じでしょうか。

2008-05-02(Fri)

◇からの鳥篭

◆TOA、ガイ独白

短文はタイトルの最初に◇をつけるようにしますー。


で、今回ネタバレ気味なので一応折りたたみます(ラスボス後なので)。

>>ここから先は自己責任(´ー`)

2008-05-01(Thu)

◇雨

◆種、アスキラ


 プラントの雨は不思議だ。
 湿度調整とか気圧調整とか、あとは緑樹への散水とか。理屈であれこれ必要性を説明されたけど、正直キラの記憶にはあまり残っていなかった。
 さすがに雲までは出ないから、太陽光が少し弱くなる。天気雨か軽い通り雨のようだ。
「…これってどのくらい続くんだっけ」
 今日のこの時間は降雨があると、朝から聞いていたのに。
 うっかり傘を持って出なかったものだから、雨宿りで足を止めるはめになってしまった。仕事の時じゃなくて良かったと思う。
 ふと、ポケットからメロディが鳴り出した。携帯電話だ。取り出すと、ディスプレイにはアスランの名前が表示されていた。
「はい」
『キラか? …あれ、外?』
「あ、うん。実は雨に降られちゃって雨宿り中」
『…プラントの雨は計画的に降らせるんだから、わかってただろう? 傘は』
「あー、うん。うっかり忘れちゃったっていうか、雨と傘が結びついてなかったっていうか、なんかそんな感じ」
『まったく。お前らしいな』
 優しく苦笑する気配。その向こうからも何か音がしている。
「…あれ、そっちも雨?」
『ああ。まさか降るとは思わなかったから、俺も雨宿り中だ』
「アスランだったら折りたたみくらい持ち歩いてそうなのに」
『それが、今日に限って忘れたんだよ』
 何気ない会話に、微笑が混じる。
 まるで本当に耳元で喋っているようで、少しくすぐったい。

「何か用事だった?」
『いや。…雨宿りしてたら、なんとなく声が聞きたくなって』

 もう少し。
 雨が上がって虹がかかる頃まで、一緒に話をしていよう。

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海原未漣
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自己紹介:
ヴァナ・ディールとエオルゼアに分身を降り立たせるも散歩目的というマイペースな我が道爆走ゲーマー。一応まだ文字書き属性の腐女子でいるつもり。NLBLGLおかまいなく雑食。ときめきや切なさの刺さるLOVEであればね。きゅんきゅんしたいんだよ!
只今テイルズ熱再燃中につき、ほぼほぼTOXプレイ日記と化しております。
他、現在プレイ中…GE2RB、TOV、TOレーヴユナイティア、FFシアトリズムCC。
プレイ途中で一時停止中(積んでるとか言わない)…TOA、TOGf、P4G、DoD3、ニーア、DQH、シャイニングレゾナンス、討鬼伝、BBCC、BBCP、FF11、FF14、ドラゴンズクラウン。
プレイ開始待機中…TOX2、TOツインブレイブ、月英学園kou。
クリア済…P4Q(4主)。
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