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【小話】バッツin別ゲー
で。
前にもちらりと話題に出した、素晴らしいスコバツサイト様のところで、バッツinDQを拝読いたしまして、キュピーンとインスパイアされまして。
で、ライズしたのがこれです。なんて時間かかるライズだ。もうちょっとなんとかせい私。
DFF本編終了後みんな自分の世界に帰って、バッツはスコールに会いに行こうと世界をまたにかける旅に出た! な感じで。
「えーっ、その混沌の神様、ほんとに倒しちゃったのー!?」
仰け反る勢いで、とんがり帽子の少女が声を上げた。
「うん。みんなで力を合わせてな」
できるだけ吹き抜けの向こうを見ないように、天上を見上げながら答えるバッツ。
「それは…すごいですね…」
「でも、それで仲間とは別れ別れになっちゃったのね。…酷い話だわ」
どこの世界でも神なんて、と。
感嘆の溜息をついた占い師に聞こえないよう、緑色の髪をした少女が呟いた。確か彼女はこの世界を救う勇者だという話だが、同じように光の導きを信じるライトとは事情が異なる様子。
「ねえミネア! 彼も私達と同じ、『導かれしもの』なんじゃない?」
大変露出の激しい踊り子の少女が、占い師の少女に後ろから飛びつく。
「キャッ、ちょっと姉さん、危ない!」
下り階段で後ろから飛びつかれては、確かに苦情を言わねばなるまい。奔放な姉と慎重な妹、対照的だがいいコンビの姉妹だ。微笑ましくて、バッツは満面に笑みを浮かべた。
「別れた仲間と再会するための旅なんでしょ? なのに、仲間が一人もいないこの世界に来ちゃったんでしょ? これって絶対運命よ!」
「姉さん、聞いてるの!?」
「ここで私達と一緒にデスピサロを倒して行けっていう啓示に違いないわ!」
「うーん。マーニャの言うことにしては結構的を得てるわね」
「ちょっ、一言余計よアリーナっ。ミネア、どうなの!?」
盛り上がる二人に挟まれて、ごほんっ、と咳払いする、占い師の少女。
「残念だけど、この方は『導かれしもの』ではないわ」
「えーっ!!」
「あはは、ごめんな」
「う~…貴重なイケメンが…」
「姉さん!?」
「なっ、何よ、冗談よ、怖い顔しないでよ」
後ろのやり取りに静かに微笑していた勇者が、ふと真剣な目でバッツを振り返った。
「あなたにとって、ここは只の通り道。私達のことは気にしないで、あなたを待っている人のところへ向かって」
まっすぐな目。
その眼光は、ライトの持つ光によく似ている。けれど一方で、ガーランドの底知れぬ闇にも似た影が潜んでいる。
彼女の戦いは、『勇者』が邪悪なものから世界を救うという単純なものではないという。確かにそれが大きな目的だが、物心付いた頃から育った村を襲われ、育ての親も大切な幼馴染も皆殺しにされ、唯一生き残った少女による『復讐者』の旅でもあるのだと。
そして『邪悪』とされている彼女の敵もまた、単純な悪ではないらしい。稀有な能力を人間に狙われ続けた挙句に殺されてしまったエルフの少女を愛し、守れなかったことを嘆き人間を恨んで魔に転じた男が神を超えんとした、そのなれの果てなのだとか。
(…おれが簡単に立ち入っていい場所じゃない)
これも何かの縁、ちょっと手を貸そうか、なんて。
そんなふうに軽く加われるような旅ではないのだ。彼女達の旅は。
能天気に見えるマーニャも、唯一の肉親を殺された仇を妹と共に討つため。アリーナも、一国の王女として、消えた父王や国民を取り戻し、国を復興させるため。
バッツが会っていない他の『導かれしもの』達にも、それぞれの思いがあるのだろう。
「………あ」
別のフロアに出たところに、バッツは捜し求めていたそれを見た。世界の境界だ。
「見つけたの?」
「うん。あっという間だったけど、これでお別れだな」
「えーっ、ちょっとォ! 私には何も見えないわよ!」
「多分、バッツにしか見えないのね。私もなにが違うのか全然分からない」
勇者の少女も首を横に振る。
「そっか。…じゃ、名残惜しいけど」
すっ、とアリーナが手袋を外した右手を差し出す。
握り返して、それから、パシンとタッチ。
「頑張れよ」
「ありがと。バッツもね」
「もしも光の導きがあったなら、またお会いすることもあるでしょう」
「その時はアタシの踊り、観ていきなさいよ!」
優しく微笑むミネアと、パチンとウィンクするマーニャ。
そして、ぽんと肩に暖かい手が置かれた。
「早く、大切な人に逢えるといいわね」
「…ああ。ありがとな」
彼女に言われると、重さが違う言葉だ。その重さをしっかりと受け止めて、バッツは次の世界へ飛び出す。
今度こそ彼の世界へと願いながら、ふと気付いてしまった。
(あ、勇者の名前訊くの忘れちまった)
* * *
「…絶っっっ対に違う……………」
どんよりと、じっとりと、嫌な空気がバッツの体に纏いつく。
湿り気を帯びた空気は嫌な臭いがする。血と、生き物の肉が腐ったような、生存本能が嫌う臭い。
こんなところがスコールの世界なわけがない。居心地も悪いし、これはさっさとおさらばするに限る。
とはいえ見渡した限り世界の境界は見当たらない。…薄気味悪いクリーチャーの死骸なら散乱しているが。
「…な、なんなんだ、ここ…」
こんなに不気味な世界は初めてだ。居心地が良いわけなどなく、バッツはさっさと通過してしまおうと心に決めた。
が。
「動くな」
ゴリ、と左耳の上辺りに硬いものが押し付けられ、鋭い女性の声が静かに囁いた。囁いたといっても、声が抑えられていただけで実際には凄まれたという感覚が近い。
ごくりと生唾を飲んで、大人しく従う。すると、女性の雰囲気が僅かに和らいだ。
「…どうやら普通の人間のようね…」
世界を跳んできた人間を普通と言っていいのか疑問に思ったが、この場の空気は迂闊なことを口にするなと告げている。
とにかくじっとして黙っていると、何かのエンブレムのようなものがすっと目の前に差し出され、示された。
「ニューヨーク市警のアヤ・ブレアよ」
「にゅ、入浴死刑!?」
そんな殺生な、と思わず振り返ると、クラウド似の金髪美女にじろりと睨まれてしまう。
「ふざけないで」
「ふ、ふざけたわけじゃ…」
「ここが普通の状態じゃないのは、見てわかるでしょう。脱出するわ。ついてきて」
すっと離した拳銃を構えて、さっさと小部屋を出て行ってしまう。バッツは慌てて後を追った。
「ちょ、ちょっと」
「市民を守るのは市警の仕事よ。けど、安全なところまで戻ったら事情聴取はさせてもらうから」
「え、えーと、はい」
有無を言わせぬ口調に、つい従ってしまうバッツであった。
(スコール…、おれ、お前の世界に近づいてるよな………?)
END
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只今テイルズ熱再燃中につき、ほぼほぼTOXプレイ日記と化しております。
他、現在プレイ中…GE2RB、TOV、TOレーヴユナイティア、FFシアトリズムCC。
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他にも種やマクFとかとか。