証取りに行く予定だったのに、何故か箱開けに勤しんでいる。…どうしてなんだ。
「そりゃお前、自分だけAF揃えておいて、オレ達のは後回しってのはどうかと思うぜ。…あ、来たぞ!」
宝箱の出現場所で張っていたディアッカからのPT通信。
ニコルを護衛しながら走るが、辿り着く前に落胆の声が。
「ダメだ。シーフに取られた」
「またか!サーチコメントにもAFだと書いてあるのに、何を考えているんだこの連中は!!」
「物価の高騰が著しいからな。金策にも形振り構えないんだろう」
「でも、さすがにセフィロスさんに張って頂いてる箱は、開けられる率低いですね」
「そっちにばっかり出てくれたらラッキーなのになァ」
みんなの話は半分も頭に入らない。
あとひとつ。
あの上から目線の爺さんに勝ちさえすれば、最高LVまで上げられるようになるのに。
「アスラン」
はっと顔を上げる。
心ここにあらずな状態を見透かされたようなタイミングで呼ばれれば、その意図は嫌でも分かる。
「…すみません」
英雄は、小さく笑ったようだった。
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